老人ホームのお風呂はどうやって入るの?お風呂の種類や入り方について

自宅で生活をしていると、お風呂には毎日入ることが当たり前になっているのではないでしょうか。 しかし老人ホームでの暮らしになると、お風呂に自由に入ることができないイメージを持っている方や、まだまだ元気で自分で入浴ができるから介護スタッフのお世話になりたくない、と考える方もいるのではないでしょうか。 そこで、老人ホームではどのようにしてお風呂に入るのか、回数や介護度に応じた方法などについてまとめました。


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介護度によってお風呂の入り方や回数は変わるのか

老人ホームの入浴回数は、国の基準によって最低でも週に2回と定められています。
介護度にかかわらず、少なくともこれだけの回数は必ずお風呂に入ることができるということです。

介護付有料老人ホームの場合は、この国の基準をクリアした上で、それぞれのホームによって基本回数が定められています。入浴回数を週3回以上としている施設も少なくありません。

お風呂にどのくらい入れるのか、週当たりの回数は施設の案内や重要事項説明書に記載されています。入居する前に、確認をするようにしましょう。

入浴ができるタイミングは各施設によってさまざまです。血圧など、体調に合わせて時間もさまざまですので、午前中のうちに入る施設もあれば、午後からとなっているところもあります。

自立の方の場合

移動や身の回りのことがご自身で可能な自立している方は、ひとりでお風呂に入ることができる場合もあります。しかし入浴のタイミングは、自由な施設もあるのですが、勝手に入ることができない施設もあり、人によっては入浴前にスタッフがその日の体調などの様子を確認してからとなります。

その理由は、入浴中の事故が多いことが挙げられます。ひとりで入浴が可能であっても、転倒などの事故は起こるかもしれません
そのため、入浴の前後や入浴中に、スタッフが声をかけたり安全確認をしたりする施設がほとんどです。

ただし、居室にお風呂が備え付けとなっている施設は、比較的自由に入浴ができる場合もあります。そのあたりのルールも施設によってやや異なりますので、事前に確認しておくと良いでしょう。

要介護や要支援の場合

介護度が要介護・要支援と認定されている方の場合は、介助や事故防止のために介護士が必ず付き添います。基本的に、ひとりでの入浴はできません。
入浴前は、発熱などの体調不良がないかのチェックがまず必要です。その日に入浴ができなかった場合は、翌日以降に入浴日が変更されることもあります。

湯船の温度は38度から40度程度で、天候や入浴する方の状態によって設定されています。
大浴場だと調整が難しい場合もありますが、できる限り快適な温度になるように工夫されているところが多いです。

入浴中は、介護士が見守りや移動の付き添い、髪の毛や体を洗うなど、介助をします。入浴後に体を拭いたり、ドライヤーで濡れた髪の毛を乾かしたりといったことも、もちろん介助します。

しかし、どの介護度の方でも、介護士がすべて行うわけではありません
入居者の方がご自身でできることは行っていただき、できないところを介護士がサポートするというイメージです。

ロングライフでは、各居室にお風呂が備え付けてある施設や、大浴場が整備されている施設もあります。

自分の部屋で静かに入りたい、大浴場で広々とした湯船につかりたいなど、希望するお風呂の環境を施設選定の基準のひとつとしてあげておくのがおすすめです。

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老人ホームのお風呂の種類

老人ホームのお風呂にはいくつか種類や特徴があります。

大きな違いをあげると、個室にお風呂があるかどうか、大浴場が整備されているかどうかです。施設によっては、温泉や露天風呂などもあります。

入浴方法についても、介護度によってそれぞれ違いがあります
施設によって使っている機械や浴槽などは異なるものの、大きく分けると4種類ほどです。

では、老人ホームではどのように入浴しているのか、その種類についてみていきましょう。

一般浴

老人ホームでは、自立されている方や歩行ができる方の入浴「一般浴」と呼ぶことが多いです。自宅でお風呂に入るように、自分で洗って湯船につかって、といったイメージで考えると良いでしょう。

一般浴の方は、入浴回数や時間など比較的自由度が高いことが多いです。
回数や曜日に制限があまりなかったり、居室に浴室があれば自由に入ることもできます。

週当たりの入浴回数などは、施設によって決まりがあるので、希望する施設ではどのようになっているのか入居前に確認しておきましょう。

中間浴(リフト浴)

自力で歩行したり立ったりすることは難しいけれど、座っていられるという方の入浴は、「中間浴(リフト浴)」と呼ばれています。

リフト浴は、車いすからリフトと呼ばれる機械に移動して入浴する方法です。

リフトは上下左右に移動することができるので、入居者の方も介護士も楽に移動することができます。

湯船につかる際はリフトで持ち上げて移動することになるので、最初は不安に思われる方もいます。しかし、介護士が付き添い安全に対応してくれるので、そのような不安もなくなることがほとんどです。

機械浴

自力での歩行が難しい方や座った姿勢が保てない人は、リフトよりも大掛かりな入浴用の機械を使った「機械浴」で入浴します。
機械浴は、大きく分けて「チェアー浴」「ストレッチャー浴」の2種類です。

チェアー浴

チェアー浴は、専用のいすと浴槽を使った入浴方法です。

リフト浴と同様に座った姿勢が保てる方向けの入浴方法ですが、リフト浴と違って上下に移動することがないので、介助される入居者がより安心感を持てることが特徴です。

ストレッチャー浴

ストレッチャー浴は、ストレッチャーに横になったまま入浴する方法です。

寝たままの状態で髪の毛や体を洗ったり、湯船につかったりすることができます。
このストレッチャー浴は、座った姿勢を保つのが難しい方や、寝たきりの方が入浴する際に使う方法です。

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老人ホームを選ぶ際のお風呂のチェックポイント

老人ホームを選ぶとき、お風呂をチェックしておきたいと思う方もいらっしゃるでしょう。

その際は、これからご紹介する3つのポイントをチェックしておくと安心です。

見学する際は事前確認を

もし見学を希望するのであれば、施設の担当者にお風呂を見学したい旨を事前に伝えておくことをおすすめします。

脱衣所は寒く無いか

見学時は浴室だけでなく、脱衣所をチェックすることも大切です。
ポイントは、ヒーターやエアコンなどが設置されているかどうか。
脱衣所が寒いと、着脱時に寒くて不快なだけでなく、体調が急変するリスクもあります。

もし暖房の類が見当たらなければ、寒さ対策を何かしているのかどうか、聞いてみても良いかもしれません。

清潔かどうか

浴室や脱衣所のチェックで重要なポイントは、清潔かどうかです。
お風呂まわりはカビが生えやすく、手入れを怠るとすぐに不潔になってしまいます。

髪の毛や水滴が落ちていないかなど、掃除がされているかどうかもみておきましょう。

複数の入居者が利用する大浴場は特にゴミなどがたまりやすいです。
きちんとお風呂の掃除がされ清潔が保たれているかどうかは、その施設のホスピタリティがあらわれるポイントであるといっても良いかもしれません。

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まとめ

入浴は、清潔さを保つだけではなく、気分転換や精神面の安定という意味でも大切な行為です。

まだ元気で自分のことは自分でできるという方であれば、自由に入らせてほしいと考えるのも自然なことでしょう。

しかし、年齢を重ねていくにつれて、あるいは病気や怪我によって、介助が必要になる場面は誰にでも訪れます。

介護が必要になったときの入浴のイメージが持てるように、元気なうちから入居を希望する施設の入浴設備は、忘れずにチェックしておきましょう。

※こちらの記事は、2019年11月30日時点の情報をもとにした記事です。

No.1911-05