【岡本依子さんインタビュー】「ロングライフ体操」の効果と目的って?

ロングライフの有料老人ホームで行われている体操に、「ロングライフ体操」というロングライフがオリジナルで開発した体操があります。「ヘルス&ナチュラルビューティ」スポーツ部門のエグゼクティブマネジャーでシドニー五輪テコンドー銅メダリストの岡本依子さんが開発したこの体操は、立ちながら行うことはもちろん、座りながらでも行うことができ、全身が動かせて気分もハツラツとすると評判です。開発者の岡本依子さんに、体操のポイントと効果や目的についてうかがいました。


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楽しい気持ちをいちばんに考えて開発

 

—歳を重ねるにつれて体を動かす機会が減ってくるかと思いますが、健康に過ごすためにはやはり運動は大切でしょうか。

そうですね。脳からの司令によって筋肉が働いているので、身体を動かすと脳も動かすことにもなります。身体も脳も使うことによってより機能が高まりますから、心身の健康に運動はかかせません。コロナ禍でのステイホームによって運動する機会がなくなった方に「ロングライフ体操」をして健康になってほしいな、と思います。

—運動が、脳を刺激することにつながるのですね。

もちろん、身体の機能を高める目的もありますが、「ロングライフ体操」では脳への刺激も考えた動きの構成を行いました。手や足などの抹消の部分を叩いたり、振ったりして刺激を与え、血液循環や神経伝達を促進することを考えました。

—「ロングライフ体操」について具体的に伺っていきたいのですが、まず手で体をパンパンと叩く動きがありますが、これにはどういう意味が込められているのですか?

体の末端部分へ刺激を与えます。脳から遠い部分に刺激を与えることで、脳や全身の神経伝達を促進します。また、心臓から遠い末端を刺激することで血液循環がよくなると思います。
脳が活性化するのは楽しいと感じた時だという研究があり、音楽に合わせてリズムをとる行動が脳の機能を高めるのと同時に、「楽しいな」と感じてもらえるように足を叩いて手を刺激するようにしました。楽しいイメージがあると、毎日体操を続けてもらえるかと思います。

正しい歩き方・立ち方のクセをつけるために

―ほかに、プライマリーウォーキング®と、テコンドーと、顔ヨガという、3つの要素を組み込んでいるとうかがいました。まずプライマリーウォーキング®とはどういうものか教えていただけますか?

赤ちゃんの初期歩行に着目した歩き方のことです。赤ちゃんは筋肉がついていないので、歩くときには筋肉を使って歩いているわけでありません。歩行を覚えて歩き始めることで、徐々に筋肉がついていく仕組みです。そのような、無駄な筋肉を使わない、正しい姿勢や歩き方を実践していきます。
今回の体操では、プライマリーウォーキング®指導者協会会長の岡本啓司先生にも監修していただきました。
正しい立ち方や歩き方ができると、楽に立てる、歩けるだけでなく、身体がバランスをとるために緊張して血流などを圧迫することがなくなりむくみが消えたりして健康的になります。プライマリーウォーキング®のメソッドを使って正しく立つことで、リンパや血液の流れがよくなります。

—歳を重ねるとともに、正しい歩き方・立ち方には気をつけたいものですよね。

そうですね。若いときにはどんな歩き方でも筋力で歩けていますが、筋力が衰えた時には歩けなくなってしまうかもしれません。また、正しい歩き方・立ち方を実践していないと、膝や腰に負担がかかってしまいます。長寿でお元気な方は皆さん姿勢がよく、しっかり歩けていらっしゃいます。正しい歩き方・立ち方はぜひ多くの人に知っていただきたいですね。

テコンドーでストレス発散

以前、「ネリチャギビューティー」というテコンドーを取り入れたエクササイズを作ったことがあり、テコンドーはダイエットだけでなく、ストレス発散効果が高いことも評価されました。今回の体操でもパンチや蹴りを入れて、末端の刺激とストレス発散効果を狙っています。ストレスを感じたときって、声を出して蹴りたくなるじゃないですか(笑)。蹴りの要素を入れておくこと少しでも日常のストレスを撃退できたらな、と思っています。
パンチや蹴りの動作をしながら「ヤー!」と声を出すことがとても大切で、これもテコンドーの要素です。元気なときには大きな声が勝手に出るけれど、体調が悪かったり、気分が塞いでいると自然と声もか細くなっていきますよね。体操の中でしっかり大きく声を出し、息を大量に吐き出して、呼吸機能の訓練にもなり、元気も出せるようになると思います。

—お客様の反応はいかがですか?

普段そんなに大声を出す機会はないと思うので、すごく楽しそうです。「ヤー!」なんて、なかなか叫ばないじゃないですか(笑)。声出しした後に自然に笑っていらっしゃるので、こちらまで楽しくなります。
あと、動画を流しながら体操していただいているのですが、ロングライフ体操の動画にミャンマーの実習生たちがバックダンサーとして登場してもらっていて、それもよかったです。体操が始まる前、彼女たちと片手を上げながら「レッツダンス!」と掛け声をかけているのですが、お客様も一緒になって「レッツダンス!」と言っておられて。体操前のちょっとした運動や、大きな声出しの練習にもなりますので、入れてよかったなと思いました。
動画はYouTubeにも公開しているので、ぜひ「レッツダンス!」と言って一緒に体操してください。

—顔の表情筋の使い方についても教えてください。

人間の顔にはたくさんの表情筋があり、様々な表情を作っています。表情筋は脳にも近いですから、普段使っていない表情筋を使って、脳に良い刺激を与えることが大切だと考えています。広角をなるべく上げて、いわゆる”満面の笑み”をしていただくことと、顔を思いっきりしかめてもらうことを交互に4回やってもらっています。
コロナ禍で人と会うことが減って、表情を作る機会が少なくなることで、脳への刺激も少なくなってしまってはいけないので、体操をすることでオーバーなほど、表情筋を使ってもらおうと思っています。そして、口角をおもいっきりあげて、楽しい気持ちになってもらいたいです。

続けて行い、習得することが大切。今後エアロビ版もできたら

今の体操は座って簡単にできる動きが基本ですので、もう少しお元気な方に向けた体操も作ってみたいと思っています。音楽に合わせて体を動かす、ということはすごく楽しいので、よりリズミカルな音楽に変えてみるのもいいかもしれません。
基本的なプライマリーウォーキング®のメソッドとテコンドーに、顔ヨガを組み込んだりしながら、さらにエアロビクスも組み合わせたりすると、もっと楽しんでやっていいただけそうかな?など考えています。

岡本依子さんが開発した全身が動かせて気分もハツラツとする「ロングライフ体操」。コロナ禍で体を動かす機会が減ったと感じている方もいらっしゃるのではないかと思います。ぜひ「ロングライフ体操」を行ってみてはいかがでしょうか。

「ロングライフ体操」は以下のYouTubeをご覧ください。