介護者として気になる床ずれの原因と予防・対処方法をご紹介

自宅で介護をしている人の間でも、しばしば話題になる床ずれ。聞いたことがあるという方もいるかと思いますが、なぜ床ずれが起きてしまうのか、どうしたら予防できるのかは詳しく知らないという方もいるかもしれません。 そこで今回は、床ずれの症状や原因について、基本的な情報をまとめました。介護をされている方や床ずれを予防したい方などはぜひ、参考にしてみてください。


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床ずれの症状について

床ずれとは、具体的にどのような症状のことを言うのでしょうか。まずは、床ずれに関する基本的な知識を確認しておきましょう。

床ずれとは

床ずれとは、身体の同じ部分が圧迫され続けたり、ずれたりすることで起きる皮膚障害のことです。医学的には、褥瘡(じょくそう)と言います。寝たきりの方に多いだけでなく、痛みなどの感覚に気付きにくい麻痺のある方認知症の方などに起こる場合もあります。

同じ場所への圧迫が続くと血流が悪くなり、皮膚や皮下組織に十分な酸素や栄養が届かなくなってしまいます。そのため、皮膚に障害が起きてしまうのです。

床ずれの症状は、最初は皮膚の赤みや皮下出血のようなものが見られるようになります。少し症状が進むと、皮膚がめくれたり、水ぶくれができたりするようになります。

さらに悪くなると、出血や浸出液が見られるようになったり、皮下組織まで傷が広がったりします。「肉が見えている」ような状態をイメージしてもらうと、わかりやすいかもしれません。もっと悪くなると、筋肉や骨まで影響が及ぶ場合もあります。この傷が原因で、全身に感染が広がる可能性もあるのです。

このように、床ずれはただ皮膚に傷ができるだけではありません。そのことを知った上で、きちんと対処することが大切です。

床ずれが起こりやすい箇所

床ずれが起きやすいのは、身体の中でも骨が出っ張っている部分。他よりも出ている分圧迫されやすいので、血流の悪化を起こしやすいのです。姿勢によって、圧迫されやすい場所がいくつかありますので、床ずれ予防をするためにも知っておくと良いでしょう。

仰向けで寝ている場合、よく床ずれが起きるのが臀部のすぐ上の仙骨がある部分や、足のかかとです。そのほか、背骨に沿った部分や肩甲骨後頭部にも起きることがあります。

横向きの姿勢の場合は、足の付け根の周辺にあたる、腸骨部大転子部と呼ばれる場所に多いです。足のくるぶし膝関節、肘肩、耳なども発生しやすい場所とされています。

車椅子など座った姿勢の場合は、座面や背もたれに触れる背骨坐骨尾骨、肘置きに置いたままになりやすい肘関節などが発生しやすい部分になります。

これらの場所に床ずれが起きやすいと知っていれば、予防策も取りやすいです。介護をしているときには、これらの部位の皮膚の変化にも注意するようにしましょう。

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床ずれが起こる原因

では、床ずれは何が原因で起こりやすくなるのでしょうか。メカニズムはわかったものの、なぜ圧迫が起きやすかったり、皮膚障害につながったりしてしまうのかはわかりにくい部分もあるかもしれません。床ずれを起こす具体的な原因について見ていきましょう。

床ずれの症状が起こりやすい人

床ずれを起こしやすい方には、いくつかの特徴があります。まずひとつは、寝たきりの方や、病気などによって1日のほとんどをベッドや車椅子などで過ごす方など、同じ姿勢が続く状態にある方です。そのような状態だと身体の圧迫につながりやすいため、床ずれも発生しやすくなります。

寝たきりではなくとも、麻痺のある方も床ずれを起こすリスクはあります。麻痺がある部分は動かすことができず、同じ姿勢が続きやすいからです。

また、栄養不良の方も床ずれに対して注意が必要です。同じような姿勢を同じ時間続けても、栄養状態の悪い人の方が床ずれは起きやすくなります。もともと栄養が行き届いていない状態で圧迫を受けると、さらに皮膚やその周囲の栄養が少なくなってしまうことが要因として考えられます。

床ずれが起こる原因

そのほかにも、床ずれを起こす要因となるものがいくつかあります。

皮膚そのものが弱くなっていると、圧迫による影響を受けやすくなります。高齢の方は皮膚が乾燥して弱くなっていることが多いので、注意した方が良いでしょう。おむつを使っている場合、排泄物で皮膚が湿った状態だと、より床ずれを起こしやすくなります。失禁が続いている方や下痢気味の方などは、特に気をつけなくてはなりません。

全身状態からいうと、痩せている方は床ずれのリスクが高いです。痩せていると筋肉や脂肪などの皮下組織が少ないため、骨が出っ張りやすくなります。すると、圧迫の影響が大きくなるため、床ずれも起きやすくなるのです。

また、関節の拘縮があると、四肢を動かすことができないために同じ姿勢が続き、圧迫が起きやすくなります。そのほか、むくみも床ずれの原因となる可能性があります。むくみがあると皮膚が薄くなるため、すぐに皮がめくれたり傷ができたりしてしまうのです。

本人の状態以外で床ずれに影響を与える要因としては、介護力や環境の問題が挙げられます。介護をする人手が不足すると、こまめに皮膚の状態を見たり、おむつを変えたりすることができずに、床ずれを起こしやすい状態を作ってしまいます。また、十分に圧迫を取り除くための道具がないなど、介護に必要な環境が整っていないと、予防に必要な対策を十分にとることができず、結果的に床ずれの発生につながってしまう場合があります。

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床ずれの予防と対処法

ここまで、床ずれの症状や発生の原因についてご説明してきました。では、具体的にどのようなことをすれば、予防ができるのでしょうか。予防と対処の方法について見ていきましょう。

体位をこまめに変える

床ずれは同じ部位に長時間の圧迫が続くことで起きるので、こまめに体位や姿勢を変えれば、発生を防ぐことにつながります。2〜3時間に1回程度は、向きを変えるようにしましょう。

寝たきりの方であれば、仰向け、左向き、右向きと変えていきます。車椅子に座っていることが多い方は、座りっぱなしにならないように注意が必要です。自力で立ち上がれる方は15分ほどを目安に立ち上がって腰を浮かせるようにします。

自力で動くことが難しい場合は、介助して立位をとったり、適宜ベッドに移って横になったりなどして、圧迫を取り除きます。長くとも1時間以上は座りっぱなしにしないようにしましょう。

体位や姿勢を変えるときは、リネンや衣類にシワが入らないように気をつけてください。シワが圧迫のもとになり、床ずれを発生させるリスクとなります。

もしも床ずれができてしまった場合は、医師にきちんと指示を仰ぎましょう。圧迫されないような工夫を続けることはもちろん、悪化させないように早めに治療を始めることが大切です。

グッズを活用する

体位や姿勢の変換は、頻繁に実施しなければならない上、体力も必要です。毎日続けていると、介護者の大きな負担となってしまいますので、介護グッズもうまく活用しましょう。

頭側や足側の高さを変えられる介護ベッドを使えば、高さを変えることで体位を安定させることができます。姿勢を支える目的なら、ポジショニングクッション体位変換器も便利です。体位変換器は、体位を変えるときの負担を軽減する機能もあります。

ベッドに使用するマットレスも、いろいろな種類のものがあります。皮膚が圧迫されにくいエアマットレスは、種類によっては自動で体位変換をしてくれるものもあります。ベッドの上で移動をしたい場合は、スライディングシートを使えば楽に移動させることが可能です。

これらのグッズは、介護保険で購入負担を減らしたり、レンタルしたりすることができます。詳しくは、担当のケアマネジャーに確認してみましょう。

床ずれを予防したり、できてしまった床ずれのケアをしたりするためには、こまめなケアと専門的な知識が必要です。毎日の介護を続ける中で、負担に感じることもあるかもしれません。もしもあまりに負担が大きいと感じるようなら、老人ホームへの入居を検討してみても良いのではないでしょうか。

ロングライフでは、提携している医療機関と協力して健康管理を行っています。トラブルにも24時間対応できる体制が整っており、入居者様お一人おひとりの健康状態に合わせたサポートを行っているので、ご本人もご家族も安心して暮らすことができます。

入居者様の健康状態は毎日必ずチェックしており、些細な体調の変化も見逃さないよう、スタッフで連携し、入居者様の健康をサポートしております。

もし現在、すでにかかっている医療機関がある場合もご相談ください。ロングライフでは、入居後もそのままその医療機関をご利用いただけます。

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まとめ

介護をしている方にとって、床ずれは珍しいトラブルではありません。しかし、あまり軽視すると、傷が治らないばかりか全身に影響してしまう可能性もあるので注意が必要です。今回ご紹介した情報も参考にしながら、床ずれができにくい工夫をしてみてくださいね。

※こちらの記事は、2020年2月24日時点の情報をもとにした記事です。

No.2002-10