介護保険の自己負担額はいくら?所得別・介護度で異なるしくみを解説

現在、日本にはさまざまな介護サービスがあります。 自分が介護サービスを受けるとなった場合、介護保険を適用したうえでの自己負担がどれくらいかかるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。 この記事では、介護保険サービスにおける自己負担額や、負担割合が変わる所得金額の制限について解説します。 また、保険が適用される介護サービスの種類や、等級ごとの限度額についても紹介します。


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介護保険サービスの自己負担はどれくらい?

介護保険サービスの自己負担額の割合は、どの程度になるのでしょうか。
ここからは、負担割合の違いや制度の変遷、自己負担の割合がどのようにして決定するのか、という点について見ていきましょう。

基本的には1割、所得によって2~3割負担

介護保険サービスを利用するとき、要支援もしくは要介護の認定を受けていれば、利用者の自己負担額は基本的に1割になります。

しかし、2015年から一定以上の所得がある方は2割負担に、2018年からは現役並みの所得がある方は3割負担へ変更になりました。
年金以外に収入がある方などは負担割合が高くなる可能性があるため、自分はどの負担割合になるのかを把握しておく必要があります。

自己負担の割合はどうやって決まる?

自己負担の割合は所得によって決定します。
ここからは、具体的にどの程度の所得があると負担割合が増加するのかという点について紹介します。

また、以下で触れている「合計所得金額」とは、収入から各種経費や控除を差し引き、基礎控除や人的控除する前の金額のことです。
「その他の所得金額」は、合計所得金額から年金の雑所得を差し引いた所得金額になります。

実際に自分の所得計算を行う際には、上記2点の違いに注意が必要です。

3割負担になる人

本人の合計所得金額が220万円以上で、年金収入とその他の合計所得金額が340万円以上ある単身者は、介護保険の自己負担額が3割になります。

2人以上の世帯では本人の合計所得220万円以上で、年金収入とその他の合計金額が463万円以上になると3割負担となるため注意してください。

2割負担になる人

本人の合計所得金額が220万円以上で、年金収入とその他の合計所得金額が240万円以上340万円未満の単身者は、自己負担額が2割になります。

同様に2人以上の世帯では本人の合計所得220万円以上、年金収入とその他の所得金額が346万円以上463万円未満では2割の負担が必要です。

また、本人の合計所得が160万円以上220万円未満の場合は、年金収入とその他の合計所得金額が280万円以上の場合に2割負担となります。
さらに2人以上では、年金収入とその他の合計所得金額が346万円以上で2割負担となるので、単身者と複数人いる世帯では異なる点に注意しましょう。

1割負担になる人

本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満で、年金収入とその他の合計所得金額が280万円未満であれば、介護サービスが1割負担で受けられます。
2人以上の世帯では、本人の合計所得金額160万円以上220万円未満で、年金収入とその他の合計所得金額が346万円未満の場合が1割負担です。

また、本人の合計所得金額が160万円未満の場合にも、介護サービス利用料が1割負担になります。
世帯の人数や所得に応じて自己負担割合が変動するため、事前に自分がどの負担割合になるのかを確認しておくと安心です。

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介護保険が使えるサービス一覧

介護保険が利用できるサービスの具体的な内容について見ていきましょう。要支援・要介護の等級によって利用できるサービスが異なる点にも注意が必要です。

在宅サービス

在宅(居宅)サービスは、自宅で暮らしながら受けられる介護サービスで、大きくわけて3つの種類があります。

・訪問サービス
自宅まで直接訪問してもらって受けられる介護サービス全般を指します。
入浴・食事介助などの日常生活に必要な介護や、医療・リハビリなどのサービスを自宅で受けることができます。

・通所サービス
通所サービスとは、自宅から通う施設にて受けられるサービスです。
さまざまな介護を行う「デイサービス」や、リハビリなどを行う「デイケア」が利用できます。

・短期入所サービス
短期入所サービスは、被介護者が施設に短期間宿泊しながら介護サービスを受けることができます。
同居している家族が、入院などによって一時的に介護ができない状況になった際などに活用します。

様々な在宅介護サービスを提供しているエルケアでは、これらのサービスを受けることができます。

施設サービス

施設サービスは、施設に入居して受けられる介護サービスのことで、24時間体制で介護を受けられるという特徴があります。
該当する施設はいくつかあり、要支援や要介護度の等級によって入居可能な施設が異なるため、事前に確認をしておきましょう。

・特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設):要介護3以上
・介護老人保健施設:要介護1以上
・介護療養型医療施設:要介護1以上
・介護医療院:要介護1以上

上記の入居条件ですが、要介護1以上となっている施設であっても、基本的には要介護4~5の認定を受けている人から優先されます。
そのため、施設の定員を超えてしまった場合などは、要介護1でも入居できないことがあり、順番待ちとなることも多いです。

こういった場合、選択肢のひとつとして「介護付・住宅型有料老人ホーム」へ入居する方法もあります。

在宅型有料老人ホームのロングライフであれば、元気なうちから入居していただくことが可能です。
提携の医療機関があるため、24時間のサポート体制で緊急時にも素早く対応できます。

また「ヘルス&ナチュラルビューティ」の考えのもと、美しく健康的なセカンドライフを過ごせる環境を用意しています。
食へのこだわりや趣味、旅行や多彩なイベントなどを、十分に楽しむことができるでしょう。

「要介護認定を受けてから入居先を探すのは不安がある」という方は、安心してセカンドライフを過ごせる施設として、ロングライフをぜひご検討ください。

地域密着型サービス

介護保険サービスでは、住み慣れた地域で生活し続けることを目的とした「地域密着型の介護サービス」を受けることもできます。

・訪問・通所型サービス
・認知症対応型サービス(グループホームなども)
・施設・特定施設型サービス
・小規模多機能型居宅介護サービス

要支援・要介護度に合わせた介護サービスを受けることができるため、地域包括支援センターや担当のケアマネジャーに相談してみましょう。

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介護保険サービスには利用限度額がある

介護保険サービスには利用限度額があるため、限度額を超える利用については全額自己負担となる点に注意が必要です。

ここからは、介護保険サービスの利用限度額の介護度による金額違いや、全額自己負担となる介護サービスについて見ていきましょう。

介護保険の利用限度額(居宅サービス1ヶ月あたり)

介護保険の利用限度額は、要支援・要介護の等級によって異なります。居宅サービス1ヶ月あたりの限度額の目安は以下のとおりです。ただし、地域によっては自己負担額が上乗せされることもありますので、詳しくは市区町村にご確認ください。

要支援1:50,030円
要支援2:104,730円

要介護1:166,920円
要介護2:196,160円
要介護3:269,310円
要介護4:308,060円
要介護5:360,650円

金額の範囲内であれば、所得に応じた自己負担割合(1割~3割)の負担のみで介護サービスを受けることができます。
前述したように、限度額を超える利用は、限度額を超えた部分のみ全額自己負担となるため注意が必要です。

全額自己負担になるサービスに要注意

全額自己負担になる介護サービスもあるため、サービス利用の際には介護保険が適用されるのかを確認しておくことが大切です。

介護サービス以外にあたる居住費や食費、日常生活費などは介護保険サービスに含まれないため、すべて自己負担となります。

介護保険の家事援助の範囲に含まれない、介護者家族の居住スペースの掃除や食事の準備なども、サービスを依頼する場合は全額自己負担です。

厚生省老人保健福祉局によると、以下の2つの項目については介護保険サービスの対象外とされています。

1.「直接本人の援助」に該当しない行為
介護者ではなく介護者家族に関わる家事、自家用車の洗浄作業など

2.「日常生活の援助」に該当しない行為
草むしり、ペットの世話など

出典:「指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について」(厚生労働省)

全額自己負担のサービスについては、介護保険とうまく組み合わせながら活用を検討してみてください。

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まとめ

介護保険の自己負担額は、所得や要支援・要介護の等級などによっても差があるため、自分の状況に合わせて費用を把握しておくことが重要です。

介護に関する情報収集や手続きについては、ケアマネジャーや地域包括支援センター、自治体などと相談しながら行いましょう。

※こちらの記事は、2020年11月12日時点の情報をもとにした記事です。

№2011-03