ダブル介護をする可能性は誰しもある!準備を整え両親の介護に備えよう

同時に2人の介護をしなければならない「ダブル介護」。1人でも大変なのに2人なんて…と思われる方もいるかもしれませんが、誰にでも起こる可能性はあります。両親同時の場合、自分の親と義理の親、人によっては障害を持つ兄弟や子どもなどが重なってしまうことも考えられます。 負担の大きいダブル介護ですが、どうすればうまく乗り越えていくことができるのでしょうか。ダブル介護によって起こりうる問題や、そのような事態に備えて今からできる準備についてまとめました。


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ダブル介護によって生じる4つの問題

ダブル介護は負担が大きいというイメージは、誰でも想像がつくのではないかと思います。では、具体的にどのような点が負担となるのでしょうか。今後に備えて準備をするためにも、まずは生じる可能性のある問題について確認しておきましょう。

精神的・肉体的疲労が溜まりやすい

介護には体力が必要ですが、それが2人となれば肉体的な負担も2倍です。病気の後遺症や障害などで身体的介護が必要な場合、その負担はさらに大きくなるでしょう。移動や入浴の介助などは腰への負担が大きく、腰痛も起こしやすいです。

2人の介護が必要となれば、介護に割く時間も2人分必要です。家のことや自分自身のことをする時間が削られてしまい、精神的な負担も大きくなってしまいます。こうした精神的・肉体的な疲労が溜まりやすいことは、ダブル介護の大きな問題点です。

休息の時間がとりにくい

先述した通り、2人分の介護をするためには、それだけの時間を割く必要があり、さらに介護を担う人数が少なければ、その分だけ休息の時間も取りにくくなってしまいます。

介護度が高くなってくると、夜間の対応も必要になるため、ほぼ24時間体制での介護が必要です。睡眠時間が少なくなり、無理な生活が続けば介護をする自分自身の健康状態も悪化しかねません。

介護離職に追い込まれる可能性がある

高齢化が進み、介護をする人が増えるにつれて、介護離職をする人も増えつつあります。介護離職とは、介護の時間を確保するために仕事を辞めることです。

1人の介護であっても介護離職をする人がいるのですから、ダブル介護ならばなおさら、介護と仕事の両立は難しくなるでしょう。ダブル介護の場合、経済的なダメージを受ける可能性が高くなると考えておいた方が良いかもしれません。

社会的孤立感が深まりやすい

仕事を辞めて介護が中心の生活になると、社会とのつながりが薄くなってしまいます。毎日顔を合わせるのは家族だけ、外出もなかなかできない、家族以外で会話をするのは介護サービスのスタッフくらい…そのような状態になると、介護者は孤独を感じるようになるでしょう。

周囲に話せる人や理解をしてくれる人がいないと、何があってもだんだんと1人で抱え込むようになっていきます。そうすると、介護における負担はますます大きくなってしまい、介護者の心身の健康状態にも影響を及ぼしてしまうことが考えられます。

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ダブル介護をするうえで欠かせないこと

そんな負担の大きいダブル介護ですが、誰にでも起こり得るものです。ダブル介護をうまく乗り越えていくためには、何をすれば良いのでしょうか。今からでもできる、ダブル介護に向けた準備についてまとめました。

相談できる相手や窓口を確保する

本格的なダブル介護が始まる前にまずしておきたいことは、相談先を見つけておくことです。家族や親戚、友人でも良いので、話せる相手がいると安心できます。

専門家でないと悩みを解決することは難しいかもしれませんが、話すことで気分転換になる部分も大きいので、少し疲れたときは話を聞いてもらうようにすると楽になれます。

具体的に困ったことや悩みがあるときは、担当のケアマネジャーや地域包括支援センター、自治体の介護に関する相談窓口などを活用しましょう。使えるサービスを紹介してくれたり、介護のポイントなどを教えてくれたりしますので、何か解決策が欲しいときには専門の窓口や担当者を頼ることをおすすめします。

地域によっては、介護をしている家族の当事者による集まりが開催されていることもあります。同じ立場の人と話をすることで「大変なのは自分だけではない」ことを実感でき、孤立感の解消や前向きな気持ちを得ることにつながります。身近な人には話しにくい、なかなかわかってもらえないという場合は、このような場も利用すると良いでしょう。

支援制度や保険を活用する

仕事との両立や経済的な面については、いくつか利用できる制度などがあります。

介護休業制度
要介護状態にある家族を介護するために休業ができる制度です。両親及び義両親、子供が対象。利用期間と回数には制限があり、通算93日まで、対象となる家族1人につき3回まで取得可能です。同一雇用主に1年以上雇用されていて、休業開始日から93日以上が経過したあとも雇用が見込まれていることが条件で、非正規雇用の人も取得できます。

制度を利用している間の給料は基本的に支給されませんが、雇用は守られます。企業によっては、何らかの支給がされることもあります。

・介護給付金
介護休業を取得した際に得られる給付金ですが、雇用保険の被保険者が一定の要件を満たしていれば、給付を得ることができます。支給額は、介護休業取得時の給料の日額×休業日数×67%が原則です。

そのほか、民間の保険会社が、将来の要介護状態に備えるための保証として介護保険を提供しています。近年、要介護者の増加にともなって、提供する会社や種類が増えてきている状況です。

保証内容はそれぞれ異なっており、所定の要介護状態になったら一時金が出るものや、定められた期間保険金が支払われるものなどがあります。もしまだ加入できる状況なのであれば、近い将来への備えとして加入を検討しても良いかもしれません。

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ダブル介護を安心して行うためには

ダブル介護に突入したら、できるだけ無理をしないで続けていくためにも、家族の負担を軽減する工夫が必要です。安心できる状態で介護を行うために必要なことを確認しておきましょう。

介護から解放される時間をつくる

介護をできる限り負担なく続けていくためには、家族が介護から離れられる時間をつくることが大切です。気分転換やリフレッシュのできる時間を定期的につくって、気持ちのメリハリをつけるようにすると、落ち着いた精神状態を保ちやすくなります。

介護から離れる時間をつくるためには、家族だけでは難しいこともあるでしょう。そのようなときにも利用できるのが、介護保険サービスです。介護保険サービスは、介護が必要なご本人のために使うのはもちろん、家族のレスパイトケアとしても利用されます。

レスパイトケアとは、家族が休息を取れるように支援や代行をすることです。介護を支援する側は、このレスパイトケアも重要なポイントと考えています。負担に感じていることは、担当のケアマネジャーなどに素直に伝えるようにしましょう。

レスパイトケアとして利用できるサービスは、以下のようなものが例として挙げられます。

デイサービス…日帰りで施設に通い、食事や入浴などの日常生活の支援を受けたり、リハビリテーション、レクリエーションなどを行ったりする。
ショートステイ…要介護者が介護施設に宿泊する。数日〜十数日の間で利用できる(規定あり)。家族が病気や冠婚葬祭などで介護できない場合のほか、休養目的でも利用される。
訪問介護…介護ヘルパーが自宅を訪問し、介護を行う。
訪問入浴…自宅へ専用の浴槽などを持ち込み、入浴支援を行う。
レスパイト入院…家族の休養を目的に行われる入院。医療的ケアが必要で、介護施設では対応が難しい場合に病院への入院が検討される。

これらのほか、介護保険外のサービスを提供している民間の企業などもあります。利用できるサービスはうまく利用しながら負担を軽減し、介護と向き合う精神的・肉体的な余裕をつくるよう心がけましょう。

定期的に介護サービスを見直す

介護度は、一度認定されたらずっとそのままというわけではありません。病気や障害の状態は変化しますし、加齢による衰えで機能が落ちることもあります。定期的に介護認定を見直してもらい、状態を確認するようにしましょう。

その上で、今の状態で受けるサービスは何が最適なのか、ケアプランを見直すことも必要です。状態に応じて必要なサービスは違いますし、介護度が変われば受けられるサービスの回数なども変わってきます。担当のケアマネジャーに相談して、適したサービスが受けられるようにしていきましょう。

もしも自宅での介護を続けるのが難しいと感じたら、施設への入居も選択肢として考えてみても良いかもしれません。自宅介護よりも費用はかかるものの、24時間介護スタッフが見てくれる施設もあるので、負担を大きく減らすことができます。

有料老人ホームやグループホームを展開しているロングライフでは、「顧客満足(グッドフィーリング)」に基づいたサービスをご提供しています。24時間いつでも緊急トラブルに対応できる体制を整えているほか、協力医療機関と提携しており、健康管理の面も安心です。

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まとめ

大きな負担を抱えやすい両親共に介護を要するダブル介護は、誰でも遭遇する可能性があります。知識や備えがないままにダブル介護に突入すると、早い段階で家族も介護を受ける本人もつらい状況になってしまうかもしれません。

利用できるサービスや制度などを確認し、ダブル介護が必要になったときにどうしたら良いかを早めに検討しておくようにしましょう。

※こちらの記事は2020年3月20日時点の情報をもとにした記事です。

№2003-10