認知症になる前の相続対策とは|住まいや身の回りのことはどうする?

相続する予定の資産や土地、建物などを所有している場合、できる限り認知症になる前に意思表示を行っておく必要があります。 認知症を発症してから相続対策を行うと、具体的にどのようなトラブルが発生するのでしょうか。 この記事では、認知症と相続対策の関係性や、認知症になる前にできる相続対策について紹介します。 自分の意思表示を元気なうちにしておくことで、将来に対する不安を軽減させられるでしょう。


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認知症と相続対策の関係

認知症を発症してから相続対策を行うと、相続に関する手続きが行えなくなってしまう可能性があります。

なぜなら、基本的に認知症を発症すると「判断能力がない(著しく低下している)」とみなされ、本人の正常な意思で決定されたものとして扱ってもらうことができなくなるためです。

「認知症の段階が軽度であれば、自分の意思表示を行えるのでは」と思う方もいるでしょう。

しかし、軽症であっても認知症と診断されると、今後の生活のことで頭がいっぱいになり、相続について親子間で話し合う機会がなかなか設けられないケースがあります。

とくに、定年以降のシニア世代と30~40代の現役世代では生活スタイルが異なるため、頻繁にスケジュールを合わせることは難しいでしょう。

そのため、可能な限り認知症を発症する前の元気なうちに相続対策を行う必要があるといえます。

親子でスケジュールを合わせることが難しい場合でも、親だけでも子どもに意思を伝えるための準備をしておくと良いでしょう。

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認知症になる前にできる相続対策

認知症を発症する前に相続対策を行う必要性について述べましたが、具体的にどのような相続対策を行えば良いのでしょうか。

ここでは、認知症になる前に自分でできる3つの相続対策を紹介します。できる範囲のことから、少しずつはじめてみましょう。

成年後見制度

認知症を発症すると判断力が低下し、振り込め詐欺などのトラブルに巻き込まれる恐れがあります。

そのような場合に備えて、成年後見制度の手続きを行うと安心です。

成年後見制度とは、法的な補佐役を立てて契約・解約や預貯金の管理などを任せる制度のことを指します。

成年後見制度は大きく2種類にわけられます。認知症を発症する前から活用できるものもあるので確認しておきましょう。

1.法定後見制度

法廷後見制度は、判断能力を失ってから(認知症などを発症してから)手続きが行える制度です。

判断能力がどの程度あるのかによって「後見・保佐・補助」の3種類から選択して手続きを行います。

「後見」は、まったく判断能力がない場合に後見人に代理権・取り消し権が与えられるもので、もっとも強い権限が後見人に付与されます。

「保佐」は、判断能力が著しく低下している場合のもので、特定の事項を除き保佐人に同意権と取消権が与えられる中程度権限をもつものです。

「補助」は、判断能力が不十分とされる場合に、補助人に一部の同意権と取消権が与えられます。

このように段階に合わせて後見を行う人に権限が与えられるため、軽度の認知症でも本人の意思を尊重できる仕組みとなっています。

2.任意後見制度

任意後見制度は法廷後見制度とは異なり、本人にまだ判断能力がある段階でも手続きができる制度です。

本人が判断能力をもっている段階で、信頼できる人と後見契約を交わすことができる特徴があります。

成年後見人になれるのは血縁者だけではありません。弁護士や社会福祉士、ボランティア、身元保証会社などの第三者が成年後見人になるケースも増えてきています。

また、成年後見人はひとりだけを選ぶ必要はなく、複数人と後見契約を交わすこともできます。

ただし、成年後見人を選定するのは家庭裁判所で、申立人が希望した人が必ずしも選定されるとは限りません。

家族信託

認知症を発症する前から行うことができる相続対策の1つとして、家族信託制度を活用する方法があります。

委託者本人が、預貯金などの管理を信頼できる家族・親族に任せることができる制度です。

実際に委託者から管理を任され、運用を行う人を「受託者」と言い、財産を享受する権利をもつ人を「受益者」と呼びます。

たとえば、不動産資産を有していて相続にともなって売却する必要が出たとき、共有不動産の場合は共有者全員の合意が必要になります。

家族信託で受託者を選定しておけば、処分を決定する権限をひとりに集約しながら、処分時の資産を受益者と分配できる形です。

家族信託契約を行っておけば、管理にともなう意思決定をスムーズにさせ、相続は平等に分配することが可能になります。

そのため、管理が必要な資産を有している場合には、判断能力があるうちに家族信託契約を交わしておくことで相続対策ができます。

家の売却

認知症を発症してひとりで生活することが難しくなり、家を売って子どもと二世帯で暮らす人も多くいます。

相続で持ち家などの不動産を平等に分配することは難しく、同居をきっかけに家族信託ではなく家を売却するケースもあるでしょう。

売却した資金を活用して二世帯住宅のリフォーム費用にあてる以外にも、老人ホームの入居費用にするという方法もあります。

介護が必要になったとき、二世帯で同居している場合は家族に負担がかかることもあるでしょう。

老人ホームへ入居しておけば将来的に介護が必要になったときにも、自身だけでなく家族も安心して生活できる利点があります。

また、とくに高齢になってからの単身生活は、もしものときの不安がともなうものです。

老人ホームであれば、ケアスタッフが万が一のときにも対応してくれるので、本人にとっても安心できるのではないでしょうか。

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家の売却を考える前に!老人ホームがおすすめ

家を売却して二世帯同居を考える前に、老人ホームへの入居を検討することもおすすめです。

高級老人ホームロングライフでは、元気なときからの入居をおすすめしています。

老人ホームだからといって、介護ケアや医療ケアのみを行っているわけではありません。入居者様お一人おひとりが自分らしく生活を送っていただけるよう、旅行やレクリエーション、オペラ鑑賞などのさまざまなイベントを通じて、老後の生活をより豊かに送っていただける機会が豊富にあるためです。

また、ロングライフ体操などの健康寿命を延ばす取り組みも行っており、心身ともに健康な生活をサポートする体制も充実しています。

もちろん、介護が必要になった場合や緊急時も、24時間365日ケアスタッフが対応するため、万が一の時も安心です。

介護が必要になっても入居者様お一人おひとりのご意思に沿って、補助が必要なことをスタッフがサポートします。

生活のサポートを受けながら、さまざまなイベントを楽しむことができるため、いきいきとした老後の生活を実現することが可能です。

認知症になる前に相続対策を行う際には、将来的な生活環境の選択肢として、ロングライフへの入居を検討してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

認知症になる前に相続対策を行う場合は、発症する前の意思表示が欠かせません。親族間で意見の相違がないように配慮し、元気なうちに家族と話し合っておくことが大切です。

家族とスケジュールを合わせることが難しいという場合には、まず自分でできることから対策をはじめましょう。

相続に関する意思表示を書面化したり、将来的な生活場所を検討したりすることも方法の1つです。

認知症になってからさまざまな手続きを慌てて行うよりも、まずはできる範囲のことから早めの準備を心掛けましょう。

資産の相続についてだけでなく、生前贈与や遺言書の作成、延命措置に関する意思表示など、より具体的に準備しておくことが大切です。

※こちらの記事は、2020年9月13日時点の情報をもとにした記事です。

№2009-01